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井澤卓 井澤卓
井澤卓

バー&レストランレポートとは

Taku Izawa

バー&レストランレポートとは

Taku Izawa

こんにちは。井澤卓です。

前回の記事で、今後BHIVEで発信することとして、毎月1本の飲食店 or ホテルの訪問レポートの共有」とお伝えしました。

今日はこのレポートそのものについて、簡単に背景をお話したいと思います。

僕達の会社では、毎月全社員に予算を与え、飲食店への訪問レポートの提出を義務付けております。

予算は各メンバーの役職や在籍期間の長さ等に寄りますが、飲食チームには月に1万円〜2万円を上限として付与しており、コース料理など単価の高いレストランへも行ける仕組みにしています。

経費付与のためには、以下をルール化しています。

・1人or 2人で行くこと。3人以上の場合は、自らの体験に注目する時間が減るため
※予算内であれば、同行者の分を支払っても問題ない。ただし、一緒に行く人のカクテルを少し飲ませてもらう等、二人分の体験量を得ること。

・月内にレポートを提出し、経営陣の承認を得ること

レポートにはいくつかの必須項目を設けて、自分の仕事への学びを持ち帰れるようにしています。

個人はもちろん、チームでも国内外様々な飲食店へ訪問しています。

レポートの目的

このレポートの目的は大きく2つあります。

①他店へ訪問することによる学びの機会の創出


飲食業に従事する人間である以上、他店での学びの機会を作ることは必要不可欠。

その際、お酒や料理、サービスはもちろん、内装・グラフィック等、実例を見ることを意識づけています。

流行っているお店には、各項目における工夫が盛りだくさんで、学びの宝庫。
ポジティブなこと以外にも、客目線での「嫌なこと」にも気づく機会になります。

僕の会社には飲食業初心者も多いため、彼らがキャッチアップするためにも必要な制度だと思っています。

もちろん、「飲食業に従事している以上、自ら学びに行くものだ」という考えはありますが、若いメンバーは金銭的な問題もあり、自費で行けというのは中々難しいのが実情です。

それこそ個々の目的意識によって学びへの行動量は変わってしまうので、最低限は制度として整えようという考えです。

②すべての仕事に必要な「思考力と言語化力」を養う

レポートには細かく項目を設けて提出を義務付けています。
かつ、僕と倉嶋という経営陣がチェックし、必要に応じて再提出を促しています。

これはまさに、「思考力と言語化力を養う」ため。
社員には、バー・レストランレポートの意義について、以下のように明文化しています。

バー・レストランレポートは、究極的には「誰かに読ませるためではなく、自分がわかる為」に書く。
日常でなんとなく通り過ぎてしまう、「なんか良かった」「なんか嫌だった」という感覚。
そこに向き合い、反芻し、言語化することで、なんとなく感じた感覚を解像度高く、具体的に理解することができ、再現性を作り出す事ができる。

空間の設計、お菓子やカクテルのメニュー開発、カトラリーや食器の選択、サービスルールの設計、全てにおいてその経験が生きる。

実体験から感じた具体的事象は、一度抽象化し、客観的に見て他の事例に当てはめてみる。そして、「自分以外の人の多くも感じる、普遍に近い事実かどうか」を見極める。

これを繰り返すことにより、メニューでも内装でもイベントでも、新しい企画を考える際に自信を持って「成功率が高いアイデア」を打ち出す事ができる。

繁盛する店、成功しているブランドを運営している人、売れるデザインや空間を作れる人は、間違いなくこの「具体と抽象を行き来して外れない施策を打ち出す」能力に長けている。

全ての仕事人に必要なその能力を養うために、言語化トレーニングを自分に課すのがレポートの意義である。

思考力と言語化力は、飲食だけでなく、あらゆる仕事において必要なスキルだと考えています。

「飲食業」とは言っても、実際の仕事は店舗での実働だけではありません。

目標数字の達成に向けたメニューやサービスの戦略構築はもちろん、イベントの企画、集客のためのマーケティング、店頭で使うデザインのディレクションなど、あげればきりがない程多岐に渡るのが実情です。

仕事で発生するあらゆる意思決定において、「なぜこうするべきか」を考え、目的と戦略を考える。そして、各メンバーを巻き込み、施策を実行していく。そのためにも、思考力と言語化力が必要不可欠です。

社員にとっては、このレポートが中々難儀で、チャレンジングなようです。
特に、考えをまとめて文章化することに慣れていない人にとっては、数時間かかることもあるそう。

この思考力と言語化力は、飲食業だけでなく、どんな仕事にも必要なスキル。
業務の対象が変わっても転用出来る基礎能力なので、これさえ身につけば、この先どんな仕事をしても活躍出来る人になる。

飲食店の日常の業務をこなしてレポートを書くことは大変ですが、トレーニングとして続ける意義は、彼らの将来のためにも大きいと考えています。

以上、簡単ですがまずはレポートという制度について考えをまとめてみました。

今後は、僕自身もこの場を通して皆様へレポートを共有していきますので、引き続きお読みいただけると嬉しいです。

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